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今年、最後に

今年、最後に


二学期末の大掃除をサボって冬休みに突入したら、生徒会長に呼び出された。
運動部の各部室の点検と、運動部部長の机の整理整頓くらいしろと。
高等部二年の時で、ちょうどあたし達が中心となって生徒会を運営する時期になっていた。
まだまだなれない働きと、まだまだなれない…生徒会長…
ご親切に、あたしを呼び出してから机の整理整頓が終わるまで付き合ってくれている。

「もう終わるから。先帰って、どーぞ」
「ちゃんとやった?」
「もちろん!部室の点検も、机も片付けた」

生徒会長はぐるりと目線を動かして、あたしの机の周りを確認した。  

「ま、いいでしょ。いいことにします」
「やった!」
「悠理は先にお帰りなさい。僕は今から職員室へ報告があるから」
「戸締まりくらいしてあげる」

珍しくあたしを見て、少しだけ笑う。
結局二人でテーブルを片付けて、消灯もする。
そして生徒会長は職員室へ、あたしは昇降口へと向かう。
冬休みの学校は静かで、夕方前なのにうっすらとしている。
今から魅録と約束がある。
制服は、魅録の家で着替えるつもり。
いつも通りに。
昇降口で靴を変え、手にしていたダウンを着込む。
今日は手ぶらで帰る。
荷物は邪魔だし、着替えは魅録の部屋にある。
外に出ると、痛いほど風が冷たかった。
空を見上げると、やっぱり。
クリスマスに必要な雪は降らずに、こんな時に。
灰色の空からチラリチラリ。

「降って来ましたね」

声に驚いて振り向くと、生徒会長が黒いコートを着込んで立っていた。

「早いね。先生は?」
「いなかったから。一緒に帰りましょう」
「ごめん、今から魅録んち」
「そう、遊ぶの?」
「うん」
「じゃあ、反対方向ですね」
「うん」

あたし達は校門まで白い息をはきながら歩き、そして止まる。

「もしかして、来年までさよなら?」
「あ、そうだ。元旦までさよならだ」

来年の元旦は、倶楽部みんなでお参りに行く予定。

「悠理、良いお年を」
「うん。清四郎も、良いお年を」

互いに手を振り、背中を向ける。


あの時、清四郎も誘えば良かった。
そうすれば、もしかしたら、運命は、少しだけ変わっていたかも知れない。
うつろい行く想いに翻弄されずに、誰も傷つかず、直接的に、あたしと清四郎は… 


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