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2018年10月

夢で、逢えて

二人きりで会うなんてあまりないことだから、あたしはいつも眠る時、夢で逢えるように願う。
自分の理想のシチュエーションを想像して、こうなったらいいな、そんなこと言われたらステキだななんて考える。
想像はその内ドキドキになって、身体中があったかくなって、それで・・・まるで近くにいるような、幸せな気持ちになって眠ってしまう。
けど、ちっとも夢では逢えなくて、あたしは朝を迎えてしまう。
最近、とても逢いたい気持ちが強くなってしまっている。
なぜなら、普段の生活で会えていないから。
クラスが別なのもそうだけど、放課後の生徒会室にも顔を出さなくて、週末も休日も他の集まりで忙しいんだって。
二回くらい電話で話したけど、ちょっと素っ気ない感じ。
一度はあたしから。
お願い事があったからなんだけど、約束をなんとか取り次いで。
今から行きますって、次の電話は向こうから。
でも、来てくれたのは魅録だった。

「清四郎、ESP研究会で忙しいから、俺が代わりに預かってきた。英語の参考書が必要なんだって?一番分かりやすいのを探しといたからって」
「ありがとさん。助かった。清四郎、最近そんなに忙しいの?電話では持って行きますって言ってたけど」
「強制的に会議が入ったって。だからすみませんって」
「そっか。仕方ないね」

あたしは魅録が持って来てくれた清四郎の英語の参考書を手に呆然とする。
清四郎が持って来てくれたそれなら、来週のテストの赤点はクリアできるって思ってたのに。

「俺だって英語くらいなら教えられるぜ」
「うん。知ってるよ。お願いしよっかな」
「任せとけって。英語に数学、化学に物理に、なんでもござれ」

そうして、みっちり魅録と勉強した。
あたしの部屋は魅録の趣味にも合ってるからね。
あたしと魅録は、とっても気が合うんだ。

「赤点は、なんとかクリアできそうだな」

魅録は優しい。
魅録はいつもそばにいてくれて、励ましてくれる。
遊んでくれるし、それに、いつでも味方でいてくれる。
本当に優しくて、大好きなんだ・・・大親友さ。

魅録が帰った後、あたしは清四郎の参考書をずっと見ていた。
あたしのために選んでくれた英語の参考書。
勉強しているワケじゃない。
ただ見て、見つめて、手にしているだけ。
胸にぽっかりと穴があいたような気持ちのまま、ベッドに入って眠った。


その夜、あたしは清四郎と夢で逢えた。
清四郎は普段通りの制服で、生徒会室にいた。
テーブルを前にあたし達は座っていて、何かを話している。
たわいない話、多分。
けれど話しているうちに、どんどん楽しくなって、話題が尽きなくなって、
清四郎ってこんなに明るく話すんだって知った。
楽しそうで、時々笑い声を立てて、子供のように無邪気な表情をして。
初めて見た。
初めて知った顔だ。
こんな顔をすることもあるんだって嬉しくなる。

きっと・・・あたしだけが知る笑顔なんだ・・・


目覚めた時、いつものあたしのベッドの中だった。
明るい陽射しが窓辺に届いていて、部屋は真っ白で明るい。

夢で、逢えたんだ、あたし達。
楽しかった。
子供みたいな表情もするんだって、また嬉しくなって。
夢だけど嬉しくなって、良かったって思える。

今日の清四郎も、まだ忙しいんだと思う。
でもきっと、もうちょっともすれば、また前みたいにみんなでワイワイできるさ。
夢で逢えて、あたしは元気になれた。
みんなが知らない清四郎の顔を知ったから、それを胸に元気でいられる。

ねぇ清四郎。
また夢で、逢おうね。



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