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2020年03月

過ぎてしまえば

あいつらと別れて、ちょうど二年になる。
別れ際、新しい部屋の場所を知られちゃって、でも、あたし達はまるで潔かった。なんてね。
新しい生活に期待して、忙しさに紛れて、淋しさを感じる隙なんてなくて。

「あのマンション、立地が良いね」

ちゃんと場所まで調べてたの?
そのわりに、一度も遊びに来てくれなかったね・・・
でも今日、マンションのエントランスを出た時、あたしは通りを車で走るメンバーの一人を見かけた。
あたしにはまるで気付かないみたいにまっすぐ前を見て運転をしていた。
目線で追って、見えなくなるまで追って、でもいなくなってしまった。
どこから来て、どこに向かおうとしているの?
あたしは、ここにいるっていうのに。

ほんとはあたし、あいつが好きで、とっても好きで、だからメンバーから離れるって決めた時、どうやって別れたらいいのか、何をして忘れちゃおうか、ずいぶん悩んだ。
でもいざ決まったら、やることだらけで悩んでる隙がなくて。
気が付いたら、遠い昔を懐かしむくらいの勢いで笑っちゃう。
でもね、今日、あいつを見かけた時はちょっとだけ胸が締め付けられた。
ギュッて感じて、苦しくて。

今でも覚えてる。
二人だけの秘密の思い出。
放課後の生徒会室で、二人で遅い時間まで資料作りをしていた時、コピー機の前でキスをした。
たった一度だけ、理由なんてなしでさ。

どうしてまた現れちゃったの?
もしかしてこの二年間、ここを通っていたのかな。
あたしに気付かれないように前を向いて。
あの日のキスの理由を探すために、なんてね。

さよなら、ありがとう。
ちょっとだけ懐かしくて、嬉しかったよ。
さよなら、また逢おうね。
あたしの、初恋の人。
さよなら。



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