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本当の愛に変わる時

2008年9月30日の『charm更新日記』より転写。

楠瀬誠志郎さんの「恋愛が愛情に変わっても」を聴いていたら
ちょっと書きたくなって走り書き・・・





目が覚めた時、太陽は青空の一番真ん中に向かおうとしていた。
リビングは日差しをいっぱいに受け入れ、でも、暖かいと感じられる。
つい先週まで午前の日差しすら鬱陶しいと感じられたのに、
今週に入ってすっかり秋の気配を感じられる。
朝晩のそれは冬へと着実に向かっていた。


やれやれ


僕は思わず口にする。


やれやれ、結局戻って来なかったな。


リビングの窓を開け、大きく伸びをする。
ソファで一晩を過ごしてしまった。
身体が痛い。


前に喧嘩をして家を出て行った時は、翌日の朝早く帰って来たのに。
こっそり寝室のドアを開け、僕達のベッドに潜り込んで来た。
彼女の身体は冷蔵庫で冷えた食パンのように冷たくて硬かった。
だから僕は、いつもの温かくて柔らかい彼女に戻るように、
背中からギューと身体全体を抱きしめた。
彼女が小さく「ごめんね」と呟くのが聞こえる。
それだけで、僕の冷えた心があったかくなった。

なのに、今朝は戻って来なかったな。

僕はキッチンへ行き、僕と彼女の分のコーヒーを作り始めた。
コーヒーメーカーがシュウッと言う音を立てて、コーヒーが出来上がった事を告げる。
食器棚から僕と彼女のそれぞれのマグカップを用意し、カウンターに載せた。


一杯目は自分の為に。


僕はお気に入りのカップに出来立てのコーヒーを淹れる。
白い湯気が僕に香り高いそれを運び、ほっとする気分を与えてくれる。


「休みの日くらい、あたしのコトだけを考えてくれよ!」

「もうちょっと早く帰って来れないの?一日中ここでずっと待っているのに」


彼女が僕に不満を訴える、その顔が白い湯気の向こうに浮かんでくる。


やれやれ、本当に何時までも付き合っていた頃みたいに。

僕は厭きれ、思わず笑ってしまう。



悠理、一つだけ教えてあげましょう。

付き合い始めた頃のときめきばかりを求めるだけじゃ、僕達は本当の夫婦にはなれませんよ。
僕は本当に悠理が大切だし、もっともっと幸せにしたいから、だから毎日を一所懸命に生きているつもりです。



何て、こんな事を言っても彼女にはまだ伝わりませんかね。
また「やっぱりお前とは別れる!」と言って出て行くかも知れませんね。


やれやれ・・・


本日三度目の、深い溜息を吐いた。
カップを持ったまま、リビングの窓辺に行く。
太陽の日差しは、午後の強い日差しへと変わっていた。
テラスに置き去りにされたテーブルは、昨夜の大雨に洗われて真っ白になり、うっすらとその表面に水溜りを作っている。


僕達が持つ互いの愛情が本当のものに変わるまで、何度でも繰り返して行くのだろう。
その度に僕達の愛は深く、そして強くなって行くに違いない。


いい加減、そろそろ帰ってくる時間ですね。


白いテーブルの上の水溜りを拭き取り、彼女の大好きなチョコクリームサンドビスケットの缶を置き、砂糖とクリームを用意する。
カウンターで彼女のマグカップにコーヒーを注ぐ。




こっそりとドアを開ける音が聞こえる。


「おかえり」


僕はドアを振り返り、笑顔で彼女を迎え入れる。
彼女は照れくさそうにリビングに入り、ちろりと僕を上目遣いに見つめる。


「ただいま」


何度も繰り返そう、悠理。
僕達の愛が本当の愛に変わる時まで。





おかえり。





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