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outsider 5-1

注:文章中に一部、お若い方には不適当な表現があります。
10代のお若い方やそのような表現が受け付けられない方はお引き取り下さい。読後の苦情も受けません。







大事に育てあげられ、その結果取り返しのつかなくなるまでスポイルされた美しい少女の常として、
彼女は他人の気持ちを傷つけることが天才的に上手かった。





こう始まる小説の題名は何だっただろう。



僕は時々行くホテルのプールサイドのデッキチェアに座ると、この文章を思い出す。
そして同時に、あの時の、彼女と過ごした数時間を思い出す・・・・・





outsider 5-1





医師として父親の病院で働くようになって四年経つだろうか。
外科医として目まぐるしい日々を送りながらも、時々、本当に時々、僕はこのホテルのプールに泳ぎに来る。
ここで心行くまで泳ぐと、身体の隅々まで溜まっていた疲れが取れるからだ。



その日は久しぶりの休日で、やらなくてはいけない仕事を自宅に持ち帰りながら、自身はここに逃げ込んでしまった。
とにかくここで数時間を過ごし、それから自宅にこもって仕事をしようと思っていたのだ。
何度かプールを往復した後、タオルで身体を拭いながらデッキチェアに座り込む。
顔半分をタオルで覆い、ぼんやりとしたままプールの数人のスイマーを見ていた。

その中で一際美しいフォームで泳ぐ女性に目がいく。

彼女は海で泳ぐ魚のように、そうする事が自然であるかのように泳いでいる。
ツルツルとした水が、彼女の身体をうっすらと覆っている。

やがて彼女は僕の反対側へ泳ぎ行くと、そこからプールサイドへとあがった。
肩紐のないグレーのワンピース水着で、光沢の生地の雰囲気が本当に魚のようだ。
細い肢体が印象的である。



僕の視線に気付いたのか、振り返って驚く・・・・・。










「こんなところであなたに会えるなんて、思ってもみませんでした」

僕はコーヒーカップに目を落としたままの彼女に向かって言う。

「元気でした?あなたの結婚式以来じゃあないですか?」

それでも彼女は、ぼんやりとした感じでカップの柄を玩んでいる。

「悠理?」

ほんの少し声のトーンを上げ、僕は彼女の名前を呼ぶ。

「悠理」

「・・・・・え?」

「気分でも悪いのですか?ぼんやりして。顔色も悪いですよ」
「ううん・・・ちょっと疲れたかな。久しぶりに泳いだんだ」
「普段は?魅録と一緒に泳いだりしない?」
「うん。あいつ忙しいから。今日は本当に久しぶりに泳いだんだ。来たくなってさ」
「泳ぐ時はここに?」
「そう」
「僕も時々ここに来るんですよ。一度も会った事がありませんね」
「うん。でも今日会えた」
「会えましたね」

そう言って微笑むと、悠理は不安そうに僕を見てから微笑み返した。
それからゆっくりとコーヒーカップを口まで運び、唇をつけてからちょっと首を傾げてそれを受け皿へと戻す。
カップに附着した口紅をそっと左手の親指で拭う。

僕はその仕草に驚く。
こんな女性らしい仕草を、彼女がするのだろうか。



「結婚指輪・・・」
「ん?」
「魅録との結婚指輪は?可憐のお店で買ったでしょ?」
「ああ、あれね」

彼女は無表情に自分の左手の薬指を見つめる。
そこにそれが存在していない事を当たり前のように。

「なくしちゃったんだ」
「なくした?魅録に怒られたな?」

悠理は面倒臭そうに顔を顰めて肩を竦ませる。



「そんなコトよりさ、清四郎。このホテルで休憩していこう」










彼女の誘いに、何故応じてしまったのか自分でも分からない。

彼女は、僕の親友と結婚しているのに。



悠理はシャワーの後、バスローブを纏ってダブルベッドに座る僕の前に来る。

「清四郎も浴びてくる?」
「ええ・・・・・あの、悠理」
「何?」
「今、僕達が何をしようとしているか分かっているのか?」

スッと目を細め、僕を試すように窺う。


「ずっと、望んでいた、だろ?」


その言葉を合図に、僕は彼女をベッドに押し倒し、その甘い香りのする肌を貪った。





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