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放課後の生徒会室にて

“ねぇ、魅録~。あたし明日、追試なんだよな~”
“へぇ、ほんと”

“今度の日曜さ、一緒にどっか行こうよ”
“ん~、そうだよね”

“ねぇ、あのさ・・・”
“・・・・・”

最近の魅録は、何だか人の話を聴いてないみたい。
耳には届いてるんだけど、右から左へと通り過ぎて行くみたいだ。
悩んでいる風でもないけれど、なんか別のこと考えているみたいで、つまんない。
ムシされてないだけマシなのかも知れないけれど、相手にされてないみたいでイヤな感じ。
だからあたしは、魅録じゃなくて清四郎にかまってもらおうと声をかけてみる。

「ねぇ、清四郎。あたし明日、追試なんだよね」
「ふうん」
「!!」

ナンだよ!魅録と変わんないじゃん!
新聞紙から顔すら上げないで~。
勉強みてあげましょうか、とか、大変だね、とか、ナンかないのかよっ!
魅録だけじゃなくって清四郎もだから、あたしはイジワルすることに決めた。

「あのね清四郎。この間のあたし達の婚約発表の後、婚約が破棄になったのは公表されてなかったから、実は続行してるって知ってた?」
「へぇ、本当」
「んっぐぅ~!そうだよ。大学卒業したら、すぐに結婚式を挙げるって父ちゃんが決めっちゃってるんだから」
「そうなんですかぁ~」

完全に聞いてない!聞き流してるだけ!
周りのメンバーの方が目を見開いて驚いてるよっ!
今ごろになってやっと魅録が慌ててる。

「何がそうなのか言ってみろよ、清四郎!」

あたしは清四郎の耳に顔を近付けて怒鳴る。
そこでやっとあたしの質問に気が付いて、こちらを振り向いた。
ちょっと驚いたような、困ったような顔をして。

「悠理、ごめん。話を聞いてなかった。何て言ったんです?」
「もおっ!いい!!」

ないがしろにされてるって頭きて、あたしは生徒会室のドアを激しく閉めてそこを出た。
昇降口まで来てカバンを忘れたのに気付いたけど、どうせ追試の勉強なんかするつもりないし、カバンなんてイラナイ。
そうして外に出た時、美童が息を切らして走って来た。
手には自分のとあたしのカバンが持ってある。

「待ってよ、悠理。さっきから呼んでるのにぃ」
「聞こえてなかったもん」
「魅録と清四郎の代わりに来たよ。今日は僕と帰ろう」
「いいよ」

そうだ、美童になぐさめてもらおうと決めた。

「やれやれ、災難だったね。二人ともあんなんだからね」
「美童は女の子に優しいし、あたしにもそうだけど、あいつらや男一般はあんなんばっかりなのかなー」
「さぁ、どうかな」
「好きな女の子にはチヤホヤするくせに、男ってサイテー」

そこで美童は声をあげて笑った。

「最低なんて言わないでよ。別に二人とも悠理に興味がないとかそんなんじゃないから。
でもね、男ってそうだよ。僕は世界の中心が女の子で集中してるから、どんな声でも聞き逃さないけれど、あの二人は特別だよ」
「どういうコト?」
「あの二人の意識はさ、一般男性とは違う、突拍子もないところに集中してるから、時々周りの声が届いてないことってよくあるワケよ。
それにこれは他の男にもあることだけど、好きな女の子や自分に興味のある子がさ、例えば安定した位置にいて自分から離れることはないって勝手に解釈していれば、安心しきってるってこと。
でもそのお陰で、男は仕事や他のことに集中できる訳だけど、時にはそんな男に女は嫌気をさして・・・気付いたら自分から離れちゃってるってこともあるでしょ」
「よくわかんないけどぉ」
「今ごろあの二人は大慌てだよ。急に空気の流れが変わったんだから」
「そうかな」
「そうだよ。多分そろそろ、悠理を追いかけて二人とも走って来るから」
「あたし、どうしたらいいの?」
「そうだね・・・」

美童は立ち止まり、顎に長い指を当てて考えている。
それからイタズラっ子のように笑って見せる。

「実は僕とできていたってコトにしてみる?」
「えええ~っ!!」
「あはは!うそ、冗談。でもこれから先は悠理が自分で決めなよ。
悠理は魅録と清四郎に、相手にしてもらいたかったんでしょ?
その気持ちを素直に伝えたらいい」
「でも、そんなコト言っちゃったら、怒られるよ」
「そうでもないかもよ」

その時、後ろからあたしと美童の名前を呼ぶ声が聞こえて来る。
魅録と清四郎の声だ。

「でも・・・」
「慌てるほど心配する二人が怒るワケないよ」
「う~ん・・・」
「素直に、ね」
「うん」

あたしと美童は声の方を振り返る。
あたし達に向かって走って来る二人に、夕方の強い陽射しが当たっている。
それは、本格的な春の気配を思わせた。





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