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memory flickers 1

すごいナルシシストでインテリゲンチャな男なのに、悠理はなぜか惹かれた。
一生に一度あるかないかの出来事だった。
どういう出逢いか、と言うと、つまりはまた彼女の両親が要らぬ見合い話を持ってきた時である。
普段のように激しく拒む彼女に、少しで良いから二人で話しておいで、と無理に二人きりにさせられたよう。
ホテルのレストランで食事をし、ロビーで軽くお茶を飲む間、彼は紳士的に接したようだ。
かなりの忍耐を必要としたであろうが、一度も嫌な顔をせず、じっと彼女の言動に合わせていた、であろう。
それは週末の出来事だったから、もちろんメンバーは週明けの話題として悠理に質問を迫った。
「そんなん、断ったに決まってらい!」と最後はその台詞で落ちがくるであろうと思っていた僕達だったけど・・・

「で?もちろん断っちゃったんでしょ?」
「う・・・ん・・・まぁね。はっきりとした言葉では言わなかったけどさ」
「うん」
「うん」
「・・・で?」
「あ、まぁ、ほら、あたしまだ学生だし、向こうも大学を卒業したばかりだからさー」
「うん」
「機会があったら、またって」
「ふうん」

僕を含めてメンバー誰もが腑に落ちない感じだった。
つまりは、断った訳ではないようだから。
僕は魅録を使って悠理にもっと詳しい事情を聞き出すように頼んだ。

「え~、俺?どうせ断りづらかったってことだろ?清四郎が直で訊いてみればいい」
「そこを何とかお願いしますよ。僕だと素直にならないでしょ、彼女」
「だってお前が気になるんだろ?気になる奴が訊けばいい」
「うう~ん。そこをどうか、お願いします!」
「ん、分かった。高いぞ、清四郎!」
「すまない。感謝致します~」

そうして魅録に詳しい事情を聞き出すように頼み込んだ。
数日して、魅録が僕の家にやってきた。

「誰かさんみたいにインテリで、取っつき難いのが第一印象だったらしい。
会っている間中笑わないし、かと言って素っ気ない訳でもなく」
「ほう」
「悠理はその見合いについてずっと愚痴って、嫌われようとしてたらしいんだけど」
「まぁ、でしょうよね。当人同士の見合いの愚痴って、ちょっとねぇ」
「けれど相手の男は表情こそ余り変わらないけれど、嫌な顔はしないでちゃんと相槌を打ったりしてたらしい。自分の意見はほとんど言わないで、ずっと悠理の話を最後まで聴いて」
「へぇ・・・ちょっと変わった奴だったんですね・・・」
「見た目は悠理のタイプでは全然なく、どちらかと言うと苦手。中肉中背で、印象に残りにくい顔つきで」
「ガッツリ、ハッキリ、どうして断らなかったんでしょうねぇ」

魅録はそこで僕が出した麦茶を一気に飲み干した。

「所々、ちょっとした優しさを感じたって」
「へっ?」
「悠理では言葉での説明が難しいんだろうけどさ、きちんと女の子としての嫌らしくない扱いと、とにかく悠理の話もきちんと聴くって」
「はぁ」
「言葉遣いが丁寧で、優しいって」
「それだけぇ?(そんな男、腐るほどいるじゃないですか!?)」
「まぁ、結局、馬が合っちゃったってことだろ、きっと」
「ふうん・・・」

僕は納得行かなかった。
特別“何”って訳でもない男の、一体どこに悠理は惹かれたって言うんだろう?
お育ちが良いのは分かるけど、スポーツとか旅行とかアウトドア的な、あるいは過激なファッションやら音楽やら、悠理が好む何かはなかったのだろうか?

「うーん」

僕は数ヵ月も悩みに悩んでいた。
悠理を手に取るように観察したりいじったりしながら・・・ずっと。
その間の悠理ときたら、ちょっと待てよ!と言うくらい恋する乙女になっていた。
もちろん普段と変わらなく元気だし食欲もあるし、僕達ともたくさん遊んだ。
けれどふとした時、それは僕がいつも以上に近寄って観察していたから分かるんだけど、彼女は女の顔になった。
少女の可愛らしさではない、大人の女、そんな感じの表情になる。
始めは勘違いかと思っていたけどそうではなかった。
物憂いしく、どこか哀しげで。
手に取ろうにも、届かない、そんな感じ。
だから僕は、そんな彼女に意地悪したくなる。
そんな特徴のない男より、ずっと近くにいい男はいるだろう。

「会いたいのなら、おじさんに言って会わせてもらえばいいでしょ?お見合い相手だし、いつだって喜んで会ってくれますって」

悠理はちょっとびっくりしたように僕を見上げた。
どうしてそんなこと言うの?って感じで。
僕が、なぜ数ヵ月も前の見合い相手のことを持ち出すのか不思議だったのだろう。
けれどそのことは訊かずに、彼女は言った。
哀しげに、とても大人っぽい顔で僕を見ながら。

「うん。そうなんだけど。でも、今は自然に任せた方がいい感じに思えるんだ」
「会いたいでしょ、だって」
「どっちかって言ったら、会いたい気もする。けど、今は、例えば偶然どこかで逢えたらそれでラッキーって思えるから」
「そう?」

女心って分からない。

「ん。計画的に会っちゃうと、ダメになっちゃうような気がして」

これには驚いた。
とっても、非常に。

「彼への想いを、大切にしたいんだね」

悠理は恥じらうように僕を見て微笑んだ。
嫉妬を覚えるくらい、とても綺麗に・・・





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