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15秒の恋

放課後の生徒会室で待ってるって言われて、それは運動部の活動予定の打ち合わせだと言うことは分かっていたけれど、なんか久しぶりにトキメイテしまった。
以前はメチャクチャ好きで、どうしようもなくて、涙することもあったりしたのに、ちょっとそこまでではないから良かったけど。
でももしかしたら、なんて期待して、過去の甘い記憶をよみがえらせる。
例えば今からあたし達の間に、以前のような間違いが起きたとしてらどうなる?
二人の気持ちを確かめて、やっぱり思った通りで、唇を合わせちゃったりしたら!
あるいは二人、落ちるところまで落ちて、すべてを投げ捨てたら。
う~ん、きっと損ばかりで、誰も得しないな。
あたしは今とても客観的になれてるから、生徒会室に入る前に女子トイレの鏡を見て、顔や制服の乱れを整えたりしない。
あたしはアイツに会って、必要なことを打ち合わせて、気持ち良く帰るつもり。
アイツも、そうさ。
ただ、あまりにも好きだった過去を、互いが惹かれ合っていた事実を確かめたい。
それは、いけないことなのかな?
もしかして誰かを裏切ることになるの?
感じるだけなら、許されるよね。

生徒会室のドアをノックすると、はいって声がしてドアが開けられた。
笑顔が親しげで、あたしは安心する。

「悪かったね、時間とらせて」
「ううん、全然平気」

あたし達はテーブルを挟んで座り、すぐに用意されていた資料に目を通す。
思ったより面倒な項目の多さに愚痴がこぼれる。

「まあまあ、そんなことは想定内。僕は悠理の愚痴には慣れてますからね」

そう言ってニッコリ微笑んで、けれど残された課題は逃してくれない。
あたしは二人の過去やその記憶は、けっして思い違いではないことを確かめながら、同時に距離が遠退いた想いを知らされた。

「イヤな仕事だよね、生徒会長って」
「だから慣れてますって。じゃあね、悠理の課題をちょっと考慮して僕も手伝いますから、年間計画だけはお願いします」
「えっ?だって一番大変じゃんそれって。そんな他の運動部の練習や試合なんて分かるわけないよ!」
「だから、各部に訊くしかないでしょうねぇ。お手数ですが」
「えぇ~」
「責めてるようですけど、それだけはお願いします」
「えぇぇぇ」

書類から目を上げ、あたしを見つめる。
それから見たことがある懐かしい笑顔を見せる。
知ってる、あたしだけが知ってる笑顔だ。

「悠理は、責める相手ではないんですけどね」


その言葉で全てが分かる。
全てが終わる。

そう、あたし達は、好きだったんだよ。

そしてお互い傷つかないように、誰も傷つかないように、そっと距離をおいて離れていった。
ダメだった。遅かった。
証拠の残らない間違いは、二人の、たった一度の甘い記憶だった。
清四郎のあったかい吐息を、忘れたことなんてなかったんだから、ね。

明日またこの場所で打ち合わせる約束をして、あたし達は別れた。
新年度が落ち着くまでまだちょっと。
甘いトキメキは今日だけかな?

あたしは肩をすくめて首を振りながら、友達以上の彼氏が待つモールへ向かった。



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