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叶わぬ想い

ご訪問ありがとうございます。

本日アップの野梨子のお相手・・・誰だか分かりますか?
有閑メンバーの弟で~す♪













叶わぬ想い





午後の陽射しが、ホテルの中庭からこのロビーへと入って来る。
柔らかな、陽射し。
触れると、緩やかに散ってしまいそうなほど、脆い。

心地良いソファーに身を任せて、母の仕事が終わるのを待つ。
目を閉じて、瞼に暖かなそれを感じる。
先程の雨の気配は消え、秋特有の澄んだ陽射し。


「野梨子、二人ぼっちになろうよ・・・」


心の奥底から、愛しい声が呼び起こされる。


「お願い」


私はその声に、ゆっくりと目を開く。





ホテルの中庭の木々揺らめき、枝には色付いた葉。
でも、「綺麗」と形容するにはちょっと・・・
雨上がりのアスファルトに黄色くなった葉っぱがぱらりと落ちて、これは綺麗。

日曜日、雨上がり、柔らかな陽射し・・・
そんな時に思い出す曲があって。
遠い昔、仲間と通い慣れた喫茶店だったらリクエストできたのだろうけれど。
でも、仲間とでもリクエストは無理かと思い直す。
何だかちょっと淋し過ぎる。
せっかくの明るい雰囲気を壊すのも悪い、と思ってしまうから。


私はこの曲を聴く度に、もう一つ思い出す作品があって、
それは、フランソワーズ・サガンの「ブラームスはお好き」。


「ブラームスはお好きですか?」


年の離れた女性に、彼は誘う。
若い彼の愛は本物だったのに、彼女はそれを完全に受け入れる事ができなかった。
何度か関係を持っても、その度に、彼との年齢差を覚える。
例えば、皺が増えた手の甲や不自然な指の関節、それを隠すように存在する指輪。
サガンがそれを表現するなら、きっとこうなのだと私は思う。
だって、それは私もなりうるはずだったから。





視線の先に、一年前の光景が甦る。
ぶらりと立ち寄った雑貨店の店先で、懐かしい彼と出逢った。
一瞬、私の中学時代からの親友で、彼の兄である人と見間違えるほど青年は、魅力的な大人になっていた。
透き通るような金色の髪、人を魅了する灰色がかった蒼い瞳、女性のような滑らかな白い肌・・・

幾度か偶然のように私の行く先で彼と遇ったが、彼が必然としているのは知っていた。


何故?


彼は純粋な恋に破れていた、その淋しさから・・・と私は判断した。
そして私は、幼馴染への長い片恋から、恋に恋する自分を愛しく想っていたから。


そんな私達の、プラトニックな幸せは長くは続かなかった。



お願い・・・野梨子。



思い出だけは一年前から変わらず鮮明で、私の胸を苦しめる。


痛みを覚える度に、現実に引き戻される。





結局主人公と彼は、離れ離れになってしまう。

まるで、私達のように・・・










いつか、傷付く自分を覚えるのが怖かった。
いつか、若過ぎる彼が私の元を去って行くと想像してしまう自分が悲しかった。

いつかその終わりが、突然の悲しみと共に私を訪れるのなら、
自分から去ってしまいたいと願ったから・・・





通りの先からウィンドウを飾る彼女に駆け寄る彼を、私は想像する。


「ブラームスはお好きですか?」


もし私が、もう一度愛しい彼と再会して同じような甘い言葉で誘われたら・・・
やはりこの主人公の女性と同じ事を考える。



こういう生活の中で、人生のこんな年になって、だれが返事など聴いていよう?






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