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another page volume 1

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さて本日アップは・・・何の番外編だったか・・・忘れてしまいました。。
web拍手で使用したネタなのは確かです。












another page





初等部の頃、よくここに寄り道しましたね。




彼は私に向かって、突然そう言った。


学校帰りのいつもの道。
彼は、ちょっとそこで休んでいきましょうと私を児童公園へと誘う。
けれど、自分で誘っておきながら何も話さない。
私よりちょっとだけ先を歩くその広い背中が、何時に無く不快に思うのは何故だろう。
そんな自分に嫌悪感を覚えた時、彼はさっきの言葉を口にした。




ええ、分かってますとも。
あなたは、話のきっかけを見つけたかっただけでしょう。




そう、でしたわね。
いつも誘うのは、決まって清四郎でした。
私はお稽古の時間を気にしてましたけれど、少しだけって言うものですから。





嫌悪感を募らせながら、無理に口元に笑みを浮かべてそう返す。




野梨子に、少しでも外の空気を吸って欲しかったんですよ。




彼の言葉で、私の中に闇が訪れる。




嘘ばっかり。
あなたは、彼女に会いたかっただけでしょう。


迎えの車を無視して、ここまで走って逃げるあの少女に、偶然を装って会いたかっただけ。
臆病なあなたは、いつも独りでは寄れなかった。
私を強引に誘って、乗りたくも無いブランコに乗せて。




そこで会話はまた途切れる。
私の様子の変化に、勘の良い彼は気付いたのだ。
勝ち誇ったように、私は彼の横を通り過ぎる。
彼の先を歩き、そしてあの場所へと向かう。
彼はただ、黙って私について来る。


あの事を覚えているの?


彼の歩調が、幾分乱れているのが分かる。










ねぇ、覚えていますこと?
私達の間に、産まれてくる筈だった子供の名前を。





彼の顔から、表情が滑り落ちる。




清四郎ったら、産まれる前から男の子だって。
絶対男の子でなくてはならないって。
勝手に名前を付けて。





やがて彼は苦しそうに顔を背け、俯く。




こんな話したくはない、そうおっしゃりたいのでしょう。
でもあなたが誘ったのよ。
私に聞きたくも無い言葉を与える為に。
だからあなたは、その制裁を受けなくてはならないの。




不遜な幸福感に浸りながら、私は彼に微笑む。




彼は何度か首を振り、項垂れる。


別に戻ってきて欲しいのではない。
初めから、分かっている。
幼かった私達が、有り得ない二人の未来に花を咲かせただけ。




ただ・・・私の存在を忘れて欲しくなかった・・・




私の中に、また別の闇が訪れる。
彼への罪の意識を感じながら。


でも彼が振り向いた時、その顔に焦燥感はなかった。


私達は互いに見つめ合い、彼は何かの糸口を見つけたかのように突然笑い出した。




ああ、そうでしたね。そんな事がありましたね。
僕はあの時から、少年のような彼女に、夢を見ていたのかも知れませんね。




悠理の事ですの?




ええ、僕はどうしても彼女を手に入れたかったから。
幼い僕には、そういう風にしか表現できなかったのでしょう。





結局、こうなってしまう。




清四郎、幸せですの?




私は不意に聞く。
だってもう、どうしようもないのだから。
あなたに勝てる事は、けっしてないのだと知っているから。




私はまた無理に口元に笑みを浮かべ、心を閉ざす。
彼が口を開く前に、この想いを彼方へと押し遣りながら。





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